AIは日本語の文字を描けない、はもう古い。8枚描かせて見出しの誤字はゼロだった

見出しの誤字はゼロでした。困ったのは誤字ではなく、同じ指示から毎回ちがう絵が出ることでした。

この記事の数値は に測ったものです。

先に結論

  • 「画像生成AIは日本語の文字が描けない」は、この日に試した限りでは外れました。日本語の見出しを7枚描かせて、誤字は1文字もありませんでした。
  • ただし同じ絵の中の小さい文字は読めません。 パソコンの画面や看板に書かれた文字は、日本語も英語もでたらめになりました。化けるかどうかを分けているのは言語ではなく、文字の大きさのようです。
  • そして困ったのは誤字ではありませんでした。 同じ指示・同じ文言で5回引いたら、行の割れ方も、色も、大きさも、置き場所も毎回ちがいました
  • 文字だけ直すことができません。打ち替えるには1枚まるごと引き直すことになり、絵のほうも変わります
  • なので絵はAIに描かせて、文字はあとから別で置くほうが扱いやすい、 という結論は変わりませんでした。理由が「化けるから」ではなくなっただけです。

どう測ったか

画像生成モデルは Gemini 3.1 Flash Image、解像度 2K、横長16:9。 1枚あたり15円ほどかかります。合計8枚で、120円ほどでした。

絵の指示はすべて同じ文にそろえ、変えたのは「入れてほしい文字」だけです。 そろえないと、違いが出たときにその文字のせいだと言えなくなります

頼み方は素直にしました。ローマ字で渡すといった小細工をすると、普通に使ったときの再現にならないからです。実際に渡した文はこうです。

絵の内容明るい室内のデスク。ノートパソコンとコーヒーカップ。奥は柔らかくぼけている。 写真のような質感で、彩度は高め。左半分は明るく平坦にして、情報量を抑える。
入れる文字画面の左半分に、次の文字を大きく、太いゴシック体で、はっきり読めるように入れてください。 「登録者が増えない本当の理由
文字は画像の中で最も目立つ要素にしてください。誤字がないようにしてください。

結果1:見出しの文字は、そのまま出た

入れてほしいと頼んだ文字枚数見出しの誤字
登録者が増えない本当の理由(13文字)50
知らないと損(6文字)10
解説(2文字)10
THE REAL REASON(英語・比べるため)10

「登録」「増」「本当」「理由」「解説」「損」あたりは、画数もそこそこあります。 それでも崩れませんでした。 英語を1枚だけ混ぜてあるのは、比べる相手がないと「日本語が」とは言えないからです。英語も日本語も、見出しは同じように出ました。

なお、これはこの日に、このモデルで測った結果です。 画像生成モデルは入れ替わりが速いので、古い記事の「日本語は化ける」も、この記事も、そのまま信じないほうがいいと思います。自分の使うモデルで数枚引いてみるのがいちばん早いです。

結果2:小さい文字は、日本語も英語も読めない

見出しが正しく出た同じ絵の中に、ノートパソコンの画面が写っています。そこを切り出しました。

ノートパソコンの画面を切り出したところ。大きな見出しは読めるが、左側の一覧の小さい文字はでたらめな文字列になっている
大きめに描かれた「YouTube チャンネル ダッシュボード」は読めます。 その左の一覧は「フォクラレー」「チャンシンナー」「ヌッヅカリー」といったでたらめな文字列です。同じ絵の中で、大きい文字だけが正しく、小さい文字は崩れています。

これは日本語だけの話ではありませんでした。別の1枚では、画面の中の英語が「Analyticss」「Étine oreview」「Paqjecn analytics」になっていました。

つまり「日本語だから化ける」ではなく「小さいから化ける」ほうが、 測った結果には近いようです。 絵の中に看板・画面・書類・本の背表紙などを描かせるときは、そこに書かれる文字はあてにしないほうがよさそうです

結果3:ここが本題。同じ指示から、毎回ちがう絵が出る

まったく同じ文をそのまま5回渡しました。文言も、絵の指示も、モデルも、解像度も同じです。出てきたのがこちらです。

1回目。文字が3行に割れ、行ごとに大きさがばらばら1回目:3行・大きさがばらばら
3回目。文字が2行に収まり、黒い文字に白いフチが付いている3回目:2行・黒い文字
4回目。3行に割れ、最後の行だけオレンジに塗り分けられている4回目:3行・勝手に2色
渡した文は1文字も変えていません。それでも行の割れ方、文字の色、大きさ、置き場所が毎回ちがいます。 4回目は「本当の理由」だけをオレンジに塗り分けていますが、色を分けてほしいとは一言も書いていません
行の割れ方文字の色
1回目3行(行ごとに大きさがちがう)白 + 黒いフチ
2回目2行黒 + 白いフチ
3回目2行黒 + 白いフチ
4回目3行白と、オレンジの2色(頼んでいない)
5回目3行白 + 黒いフチ

2行が2回、3行が3回。「登録者が増えない/本当の理由」で割れた回もあれば、 「登録者が/増えない/本当の理由」で割れた回もありました。どこで改行するかは、こちらが決められていません。

なぜ、誤字より、こちらのほうが困るのか

  • サムネイルは1枚だけ見られるものではありません。チャンネルのページでは何枚も並びます。 文字の位置と大きさが毎回ちがうと、並べたときにばらばらに見えます
  • 気に入らないところだけ直せません。「絵はいいけれど、この行の割れ方が嫌だ」と思っても、 直すには1枚まるごと引き直すことになり、絵のほうも別物になります
  • 引き直すたびにお金がかかります。1枚15円ほどなので、文字を打ち替えて5回引けば、それだけで75円ほどです。
  • 読めるかどうかを見込めません。文字の色は毎回ちがい、背景の明るさも毎回ちがいます。 この組み合わせがたまたま読みにくくなる回を、止める手立てがありません

誤字は見れば分かるので、出たら引き直せば済みます。ばらつきのほうは、引き直しても直らないのが違いです。

だから、文字はあとから置く

絵と文字を1回で作らせず、2つに分けるやり方があります。

  1. AIには、文字のない絵だけを描いてもらう。このとき文字の指示を一切書かないのがコツです。書くと描こうとします。
  2. 文字は、画像編集ソフトなりプログラムなりで、あとから乗せる。位置も大きさも色も改行位置も、こちらが決められます。

こうすると、文字を打ち替えても絵は変わりません。引き直しの費用もかかりません。絵の中の「文字が乗る場所」を明るく平坦にしておいてもらうと、 置いたときに読みやすくなります。 このとき「文字を置くので空けてください」とは書かず、 「左半分は明るく平坦にして、情報量を抑える」のように見た目の性質だけを書くほうが、指示が守られやすいです。

自分でAIに描かせるときに使えること

  • 「日本語は無理」と決めつけずに、一度は試す。少なくともこの日のこのモデルでは、短い見出しはそのまま出ました。
  • 1枚で判断しない。同じ指示で3〜5枚引いて、ばらつきの幅を見ます。 1枚だけ見て「使える」と思うと、あとで困ります。
  • 絵の中の小さい文字はあてにしない。画面・看板・書類は、寄って見ると崩れています。
  • 位置・大きさ・色を決めたいなら、AIに描かせない。決められないところを頼んでも、毎回ちがう答えが返ってくるだけです。
  • 打ち替える予定があるなら、なおさら別で置く。引き直すと、直したくなかったところまで変わります。

AIに渡す指示のうち、どの一語が絵を決めているかを数えた話は「AIにサムネイルの背景を描かせると同じ絵ばかり出るのは、たいてい指示のせい」に書きました。 あとから文字を置くときに何文字までなら大きく出せるのか「YouTubeサムネイルの文字数は何文字がいいのか」で実測しています。 文字の話に限らず、AI でサムネイルをつくると何ができて何ができないか「AIでYouTubeサムネイルはつくれるのか」に1枚でまとめました。